愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「まさかの坂」

石黒 茂 [作業療法学専攻]

 8月に入り、熱い日差しが戻ってきた。今年は夏がやって来ないかと思っていたが、やはり来るべきものはちゃんと来る。朝起きるとクマゼミのやかましい声も聞こえている。しかし、例年に比べて勢いがないと感じるのは気のせいだろうか。
 今年は梅雨が長かった(東北地方では梅雨明けさえもないそうだ)。その上、雨の降り方が異常だった。そして日本だけでなくアジア各国で甚大な豪雨災害が起こっている。コロナ禍中の豪雨災害、まさに泣きっ面に蜂である。被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。
 こうした予期せぬ災害に出会うと、小泉元総理がかつて言った言葉を思い出す。
 「人生には三つの坂がある。『のぼり坂』『くだり坂』」そして『まさか』である。」
 去年の今頃、多くの人たちは、この時期の日本は東京オリンピック・パラリンピックで盛り上がり、外国から来た人たちで各地は大賑わいし、インバウンド特需が起こると思っていた。
 アメリカの大統領選挙が秋にあり、そのため、トランプ大統領の政策でアメリカはおおいに株価が上がり、雇用も経済も好調になっているはずであった。
 これら多くの人たちが描いていたシナリオは、新型コロナの感染拡大の所為でくるってしまった(アメリカの株価の上昇は実際起こっているが)。今年初め、中国で感染拡大がはじまった頃、多くの人は、今日のような状況になると思っていなかっただろう。毎日、朝昼晩とコロナ関連の情報が大量に報道されるが、先の見通しが立たないのはなんとも不安である。先に見通しを立たせ、人々を不安にさせないのがリーダーの務めであるはずだが、なんとも目先が利かない。
 ところで、「まさか」とは漢字でどう書くのだろうか。疑問に思って愛用の国語辞典を調べてみたところ、「まさか」は平仮名で「まさか」であり、当て字で真逆とあった。真逆は2000年代になって、元々なかった「まぎゃく」という読み方が許容されるようになってきた言葉でもある。そして真逆に様をつけると「まっさかさま(まさかさま)」になる。「まさか」のことは、人々の思いと「まぎゃく」のことが起こることなのだろうが、どうか魔坂にだけはならないよう願いたい。

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