愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「質問する」

齊藤 誠 [理学療法学専攻]

学生の皆さんは、講義中や終わった後などに意見や質問がないか聞かれる、あるいはリアクションペーパーなどに記入する機会が多いと思います。

皆さんは普段、どのようなことを聞いたり、書いていますか?

「とりあえず質問してみよう」、「とりあえず自分の意見を書いてみよう」と私自身もつい言ってしまうことがありますが、「とりあえず...」と言われて、本当に「とりあえず」意見を出すべきではないです。


情報が溢れている現在では、Youtubeなどでも様々な知識や技術などを解説した動画がたくさんあります。今回、遠隔講義を受講して思った人もいるかもしれませんが、遠隔講義を受けるだけではYoutubeを視聴するのと大差ないです(私の講義よりもわかりやすい動画はYoutubeにいっぱいあると思います)。

大学の講義は、各教員の責任のもとに講義している内容の正しさを担保していますので、本当かウソかわからないインターネット上の情報よりは正しいという利点はあります(これも本当に「正しいのか」は実はわかりませんが、、、)。

しかし、すでにいくつかの分野では、質の高い講義が無料、あるいは廉価で受講できるようなサービスが提供されています。そのような中で、決して安くはない授業料を払い、大学に来て講義を受講する意味は何があるでしょうか?

リレーコラムで他の先生方も書かれていますが、大学とは自らが主体的に学ぶ場所であり、知識を提供することを目的にした場所ではありません。
自ら学ぶためのきっかけを与えたり、自分の力で物事を考える力を養うのが、質問や意見を述べる機会であると考えています。
それをきっかけに、教員や他の学生と議論し、一つの結論を導こうとする姿勢が、大学での学びを充実したものにすると思います(その最たるものに卒業研究があります)。


さて、冒頭の内容に戻ります。
「とりあえず」出した意見や質問は、書籍をそのまま言い換えた内容であったり、「~とは何ですか?」というような調べればすぐにわかるような質問である場合が多いです。
そこから議論に発展することはなく、質問に対する回答を聞いても、なんとなく納得はするかもしれませんが、得られるものは非常に少ないと思います。

これを書いている現時点では、6月から皆さんが登校してくる予定です。
感染対策は重要ですが、自分でしっかりと考えた上で、様々な人と議論をして、大学での学びを充実させてください。

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