愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「よい環境とは?」

木村 菜穂子 [理学療法学専攻 ]

今年は比較的早く秋が来たように感じていたのですが,10月に入っても昼間は25℃を超える日が続いていました.そして,10月も終わろうとするこの週末,やっと「涼しい」から「寒い」という感覚を思い出させてくれる気温になったように思います.

 日本は,南北に細長い地形であり,地域によってかなり気候が違います.普段一ところで生活しているとあまり意識することはありませんが,それによって四季の素晴らしさや,環境に適応するための生活の知恵が生まれてくるわけです.家屋でいえば,西日本や九州では,夏の暑さと湿気対策として,風通しのよい家が好まれてきましたし,北国では冬の寒さと雪の対策として,屋根の形状の工夫や暖房効率のよい間取りなどが優先されてきたと思います.
我々理学療法士・作業療法士は患者さんが暮らしやすい「環境」を考え,調整・整備することも大切な仕事の一つです.もちろん,患者さんが「できること」と「しにくいこと」「困っていること」を評価し,患者さんだけでなく家族の希望も取り入れ,考えていくわけですが,生活環境に対する価値観は多種多様です.特に,世代が違うと大きく異なります.例えば,高齢の方は畳の部屋に布団を敷くよりも,ベッドを使った方がより寝起きも介助も楽です.だから,ベッドの導入を勧めることが多くありますが,中には「ベッドでなんか寝られん!」と拒否される方もいらっしゃいます.それは,その方の生活スタイルであり,価値観です.「ベッドの方が楽なのになあ」と思うことも正直ありますし,介護されるご家族のことも考え,メリットとデメリットを何度もご説明させていただくこともあります.でも,生活するのは「ご本人」です.長年培ってきた習慣と,それに基づくこだわりは,やはり大切にしなければなりません.
患者さんのために,生活しやすい「よい環境」にできるだけ近づけたい,という思いは我々にとって大切です.しかし,それが強くなりすぎて,誰にとっての「よい環境」なのかをうっかり忘れてしまうことがあるとしたら,それは理学療法士としての「仕事」とは言えないのかもしれません.
 私は11月から,当短大の理学療法学専攻2年生に「生活環境論」という講義をする予定になっています.理学療法の現場で必要な知識はもちろんですが,こういったことも学生さんたちにしっかりと伝え,考えてもらいたいと思っています.

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