愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「たまには歩きましょう!」

草川 裕也 [作業療法学専攻]

私事ですが、3月に引っ越しをしました。
そこから5ヵ月が経ちましたが、慣れない土地なので道に迷うことは、まだ何度かあります。
車に乗っているときには、カーナビを使用すれば目的地に到着することができます。
歩いているときや自転車に乗っているときも、地図や案内アプリを使用すれば、道に迷うことはだいぶ減ります。
しかし、カーナビやアプリを使用すると、なかなか道を覚えられません。
ナビを見たり、案内を聞いたりすることに夢中になり、目印となる建物や景色は、記憶に残りません。
そこで、時間があるときや目的地の場所が分かっているときには、できるだけ地図を見ないで歩いて行くことにしています。

車や自転車を頻繁に利用していると、なかなか歩く気になれませんが、早く道を覚えられるということ以外にも、歩くことにはとてもいい面がいくつかあります。

① 歩くことは、いつでも、どこでも、誰でもできる運動です。長時間歩き、毎日続けられれば、ダイエットやアンチエイジングの効果が期待できます。
② 作業療法士の立場から意見を述べるならば、歩くことが、気分転換や覚醒を促し、うつ病や認知症の予防といった、こころの健康維持にも効果的であると思います。
③ 車や自転車を利用していると気付くことのできない、抜け道やおしゃれなカフェ、美味しそうな飲食店を発見できるときがあります。
④ この時期に育てられている野菜や稲の成長具合を知ったり、カタツムリ、カエル、タニシ、ザリガニ、カメなど季節の生き物を見たりすることができます。

車や自転車の移動に比べて、時間が必要となるため、「時間が大切」と考える方にとっては、実践しづらいことかもしれませんが、歩くことは、「健康な生活」、「健康な人生」を送るための一つの手段と言えるでしょう。
そう考えると、歩くことができるように、リハビリテーションを実施していくことは非常に大切なことであると言えます。また、歩くことができなくても、車椅子で散歩できるということは同じように大切なことです。
そのようなことまで考えながら、リハビリテーションを実施していければ素晴らしいと思います。

最後にもう一つ、歩くことのメリットを紹介します。
イリノイ大学のCarlos Salas先生のグループが、単語の記憶に関するある実験を行いました。
対象者グループの1つは、単語を覚える前に10分間歩きました。もう一方のグループは、覚える前に10分間風景写真を見ました。
2グループの成績を比較すると、歩いたグループは、25%良い結果を得たそうです。
歩くということは、どうやら記憶にも良いようです。

学生の皆さんにとっては、耳寄りな情報かもしれませんが、注意してください。
この実験は、30単語のみの短期記憶に関するものです。
大量の知識を確実に記憶するには、歩くだけでは難しいと思います。
決して、試験直前に歩くことだけで、試験準備を済まさないようにしてください。

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