愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「誰にとっても・・・?」

木村 菜穂子 [理学療法学専攻]

「今の季節はなんですか?」と問われたら、何と答えるでしょうか?季節といえば、日本には四季があるので、春夏秋冬のどれかで答えるのが良いのかもしれませんが、どれにも当てはまらない気もします。きっと、「梅雨です」と答える人が多いのではないでしょうか。
 私は、雨が降っていると憂鬱です。なんとなく体はだるいし、くせっ毛の髪の毛はまとまらないし、頭痛も起こりやすい。傘という余分な荷物も増えるし、出かけるときに「あ~あ、今日も雨か...」とため息が出ます。でも、「この雨を待っている人(や物)もいるんだよね」と、時々ふっと思うんです。
誰かにとって不要なものが、他の誰かには必要であったり待ち望んでいるものであることは、よくあります。街づくりについて授業で取り上げるときにも、「誰にとっても使いやすい環境にするのには限界がある」という話をします。例えば、駅や歩道に設置されているいわゆる「点字ブロック」は、視覚障害を持つ人たちにとっては危険を知らせたり方向を誘導したりする、とても重要なものです。でこぼこしたあの段差を頼りに、移動する訳です。でも、車いすを使っておられる方や、ちょっとした段差にもつまづきやすくなった高齢者にとっては、道は平らな方が使いやすいのです。どちらがいい、という話ではなく、「誰にとってもよい」ものというのは、実はなかなか難しいことなんだと痛感します。
私が憂鬱になる雨は、デイケアで栽培しているキュウリを、すくすくと成長させています。どうしても「私にとって」と自分の価値観だけで判断してしまうことが多いのですが、できる限り「でも、誰かにとっては?」と視点を換えて考えられるようになりたいと思います。

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