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マイコプラズマ肺炎が大流行の兆し!?・・・ところでマイコプラズマ感染症ってどんな病気?

杉山 成司 [理学療法学専攻]

11月を迎えてすぐ、マイコプラズマ肺炎の1週間当たりの患者数が1999年の調査開始以来最多とのニュースが入ってきました。流行地は岐阜県、群馬県、香川県などで、この地方とゆかりのある地域も含まれています。マイコプラズマ肺炎はオリンピックの年に流行するといわれますが、残念ながら的中してしまったわけです。
肺炎を起こすマイコプラズマは細菌の一種ですが、一般的な細菌が細胞膜を持っているのに対して、マイコプラズマは細胞膜がなく、乱暴にいえば細菌とウイルスの中間的病原体といえます。この特性があとで述べる治療薬の抗生物質の効果に関係してきます。
患者さんの年齢は、小学校入学前後の学童から20代、30代の若い年齢層に多く、一度肺炎を起こしても数年後に再び感染することもあります。病初期はいわゆる"かぜ"症状で発熱と咳で始まりますが、インフルエンザほどには強くなく、発熱も微熱程度のこともしばしば。ただし、咳はしつこく続き、夜間に起きてしまうこともあります。またこの咳、痰がからまない「から咳」あるいは「乾(性)咳」なのが特徴で、つまり"ゴホン、ゴホン"ではなく"コンコン"といった感じになります。全身症状は「歩き回れる」程度のことが多く、何となく通園・通学・通勤している間に流行し、これが予防対策を遅らせる原因ともなります。
治療薬としてマクロライド系の抗生物質がよく効きます。汎用されるペニシリン系やセフェム系は細菌の細胞膜を傷害する薬であり、細胞膜のないマイコプラズマには無効です。症状は服薬して2~3日で改善してきます。ただ、最近はマクロライド系の効かないマイコプラズマも増えています。効き具合が悪いときは早めに主治医に相談して下さい。
因みに、イヌやネコもマイコプラズマ肺炎を起こしますが、ヒトにうつることはなく、逆にヒトからイヌ・ネコにも感染しないといわれています。

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