愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「今年も暑い夏」

横山 剛 [作業療法学専攻]

連日の猛暑の中、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょう。
「あつい」といえば「熱い」大相撲名古屋場所も先日終わりました。この場所を最後に関取最年長の旭天鵬が現役引退を表明したことはご存知のことだと思います。
かつて旭天鵬ははるかモンゴルから初めて日本にやって来て、1992年に初土俵を踏み、23年間力士を勤め40歳にして現役で幕内の土俵に上がっていた事実は、さすがにレジェンドと言われるだけのことはあるのだと思います。そんな旭天鵬ではありますが、入門当初、相撲の稽古の厳しさにモンゴル大使館に逃げ込んだことがあるそうです。親方の「これから相撲はモンゴル人の時代」とういような説得に応じ戻り、自身の体型をいかしての四つ相撲で関脇まで上りつめ、最高齢の初優勝も手にしています。また旭天鵬は、身体を冷やさないようにとても気をつけていたとも聞きます。その努力が自身に大きな怪我をさせずに結果として息の長い土俵人生を送れることとなったのだと思います。「相撲は人生のすべて」と引退時のコメント大変印象的でした。
 旭天鵬のみならず私たちにも同様であると思います。自身が望む事でもそれをしないことが結果として自身が生きることになる、という逆説的な考えの生き方をすることが私たちにはあります。このことは成人期の心理社会的発達の課題として考えることができます。「あれもこれも」を望む事が結果として何も手に入らないことを知っている人は、「あれかこれか」の生き方になり、何かを捨てることで結果として手に入れられることを学ぶことは、大人を生きることに大変重要な示唆を与えています。
普段仕事で接している青年期にある学生達は、これらのことが解るようになるために非常に苦労しているように見えます。この苦労がいつか旭天鵬のようなレジェンドとは言わないまでも、「苦労して良かったのだ」ということを、胸を張って言えるように私は関わっていこうと思っております。

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