教員リレーコラム

「懐かしい風景」

木村 菜穂子[理学療法学専攻]

前回、12月末にこのコラムを書きましたが、その後も波の大小はあるものの、コロナを抱えたままでの新年度となりました。 そんなスタートの少し前、3月の卒業式後にお休みをいただき、感染状況も落ち着いていたので2019年のお正月ぶりに実家に帰省しました。いつもであれば、新幹線で2時間程度の行程ですが、今回は実家に高齢の両親もおり、感染予防の観点から車での帰省となりました。休憩をとりながらですので6時間ほどかかりましたが、1人ですし、車の中は今は行けないカラオケ状態(笑)でのんびり行きました。実家では、家からほぼ外出することなく、家族と時間を過ごし、加えてまとまった時間を読書に費やすことができました。 そして、いつもの帰省ではできないことをもう1つ行いました。それは、中学3年まで育った街への寄り道です。実家から名古屋へ戻る途中、実家から1時間くらいの所にある瀬戸内海沿いの街なのですが、自宅があった地域から通った小学校の前を通り、中学校のそばの公園に車を停めて少し散策しました。引っ越してからもうウン十年が経ち、愛知県で過ごした時間はその2倍以上となっているので、当然変化も大きく、知らない道や新しい建物もたくさんありましたが、その中にもなんだか懐かしいと感じられる風景が広がっていました。 もしそのままその街で過ごしていたら、おそらく理学療法士という仕事は選択しておらず、すると今の私はいなかったことになるので、「自分に起こることは何か意味がある」と思いますが、それでもその街で過ごした時間が、やっぱり私の根っこの一部なんだろうな、と感じることができた不思議な時間でした。 自由にどこにでも出かけられる状況に早くなればいいなと強く願っていますが、コロナ禍がなければ車で帰省することはなく、寄り道もできなかったと思うと、そういうタイミングだったのかなと考えながら、適度な疲労感とともに名古屋に戻ってきました。
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