教員リレーコラム

「あなたが課題に直面した時の考え方は? アカウンタブル? それとも ヴィクティム?」

石川 清[学長]

皆さんは、今までに重要な課題に直面した時、例えば、受験や国試を受ける時、何か目標を立てた時、さらには、思わぬハプニングに巻き込まれた時など、どのような考え方で取り組んできましたか? コーチングで学ぶ重要なスキルの1つにアカウンタビリティがあります。アカウンタビリティとは、”主体的に自ら進んで仕事の責任を引き受けていく意識”や”一人ひとりが自分の責任で物事を考え、行動を起こす意識”のことを言います。ある課題をもった個人にとって、課題を克服することに責任を持たない限り、どのような取り組みをしようと絶対に成功しません。課題の克服は責任を引き受けて初めて生まれるものです。責任を負うことで意欲と向上心が高まり、それが大きな力となって素晴らしい結果を生むことに繋がり、課題は克服できます。 一方、アカウンタビリティの反対はヴィクティム(被害者意識)で、”自ら考えることなく、指示や命令だけに従って仕事を引き受けていく意識”すなわち、何事に対しても受け身の姿勢を指します。 両者の特徴をあげれば、アカウンタビリティについては、主体性、当事者意識、自発的な行動、できる理由を探す、と言った言葉で表現され、一方、ヴィクティムについては、責任の押し付け合い、言い逃れ、自分の仕事ではない、できない理由を探す、と言った言葉で表現されます。 課題に直面した時、アカウンタビリティを発揮するか、ヴィクティムに陥るか、人の心の動きは、基本的にこの2種類しかありません。個人がヴィクティムになると、それが悪循環に陥り失敗するが、その悪循環を断ち切り、アカウンタビリティを高めることができれば、必ず課題を克服することができるものです。 1本のラインが成功と失敗を分ける 成功と失敗を分けるのは1本のラインです。ラインの下には、言い訳、他人に対する非難、混乱、あきらめの態度などが並び、ラインの上には、現実の認識、当事者意識、コミットメント(責任を持って関わること)、問題解決、断固たる行動などが並んでいます。 「ライン下」にいる被害者意識にとらわれている人の考え方は、「私のせいではない」「自分の仕事ではない」「何をしたらいいかわからない」「することを教えてほしい」「状況が自然に良くなるかもしれないから様子を見よう」などです。 「ライン上」にいるアカウンタビリティの高い人の考え方は、「現実を直視しよう」「原因を見つけて改めよう」「私たちみんなの責任だ」「解決策を考えて実行しよう」「他に何ができるだろう?」などです。 課題を克服するためには、「ライン上」に行き、アカウンタビリティのステップをのぼること 個人が課題を克服するには、被害者意識の悪循環を断ち切り、「ライン上」に行って、アカウンタビリティのステップをのぼらねばなりません。アカウンタビリティのステップには4つのステップがあります。「現実を見つめる」、「当事者意識を持つ」、「解決策を見出す」、「行動に移す」です。第1ステップの「現実を見つめる」は、状況のすべてを現実のものとして認識し、受け入れること、第2ステップの「当事者意識を持つ」は、自分、あるいは自分の周囲の事柄や状況に対する責任を引き受けること、第3ステップの「解決策を見出す」は、新たな視点を考慮に入れて解決策を見出し、現状への変化を見出すこと、第4ステップの「行動に移す」は、意欲や勇気を持って自分が決めた解決策を最後までやり遂げることです。 自分が直面した課題に際して、皆さんが、このアカウンタビリティを高めて「ライン上」に行き、アカウンタビリティのステップをのぼれば、必ず課題を克服することができます。 さて、あなたは課題に直面した時、アカウンタブルになりますか? それともヴィクティムになりますか? column_ishikawa_20210315.jpg
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